『ケイコ 目を澄ませて』(2022)

(2024/01/28記) (2024/01/28 2023日本映画専門チャンネル放送版) 今期のアニメ、「ゆびさきと恋々」での演出で、改めて音や台詞の使い方に興味を 持って、そういえばと去年録画だけして観る機会を伺っていた本作を鑑賞。 ジャンルも違えば映像表現方法も違えども、やはり音や台詞は効果的、印象的な 使い方がより心に残る。 モノローグの使い方に関しては好対照だがこれは作品の違いによるアプローチの 違いであってどちらも正しい。(何だこの上から目線の文章) と、比較はこれくらいにしてここからは本作の話。 言葉による台詞による状況説明心情説明はほぼ 廃されている上にシルエットのみの 演出もけっこう効果的に使われている。シルエットでなくてもロングショットとか。 痛いほどわかる感情。 理解されないもどかしさ、伝えられないもどかしさを抱えながら、何が正解か 分からない中を進んでいく。 ラストの縄跳びの音はまだ続けているということなのだろうなと書くのは野暮か。

『映画 けいおん!』(2011)

(2011/12/03記) 『映画 けいおん!』(2011)を観てきました。 (2011/12/03 at ユナイテッド・シネマ豊洲 スクリーン10) 観る場所はいろいろ悩んだのですが、ライブが何箇所か入るらしいとの話も あったのと日付変わって午前0時からの最速上映回があったので。 …あ、これは軽いネタバレになっているな。「けいおん!」の場合(笑) まぁいいや。その軽いネタバレついでに内容に深く踏み込まない感想も書いて おこう。 映画になるって聞いてからいったいどんなものを作ってくるかと思ったら、 TVアニメ化された「けいおん!!」とまったく変わらないいつもの「けいおん!!」 でした。TVアニメ1期の「けいおん!」ではなく2期目として放送された 「けいおん!!」の世界。 主人公たちと作品世界が元々のんびりと変わらない日常を綴ったものだったから 「映画」なんて頭がついてはいるけれど、気張ることもなくいつもと変わりません。 それでいて「映画」なんだよな。元々が16:9のテレビを意識した構図や作りが 多かった作品だから映画になるとちょっと変わった気がする。それが良い方向に もちょっとだけ悪い方向にも作用している所があって…。 おっと。 まずはもっと簡単にさらっと書いておこう。 この作品、TVアニメのほうを観ていない人にもなんとなく判るような作りにちゃんと なっています。その立場で見てもこの空気を楽しめると思う。 もう一段登るとと音楽ネタもさりげなくいろいろと入っています。まぁ私でも判る 範囲で言えばどこぞの横断歩道とかどこぞの屋根の上とかもちらっと出てくる。 (ん、これはネタバレか(^^;) さらにもう一段登るとアニメーションしている。動きまわることの楽しさ嬉しさ、 ええととある作品の中の台詞の意訳になるのだけれど「右足を出した後に左足を その前に出すことにさえ感じられる喜び」がこのキャラクターたちの生命力を得て さらに加速されて、ホントよく動く。元々よく動く作品だったのにさらに動く。 (いや、それは贔屓目か?(笑)) もうそれだけでいいんだよって感じ。 あ、あと、いろいろとロンドンのロケ地巡りも楽しめます。(笑) で、ここから先はTVアニメのほうも観ないと…の世界かな。 う〜〜ん、これはそのTVアニメの内容も少し入るな。 というわけでちょっとだけ改行しておく。 TVアニメとして放映された「けいおん!」はまず1期として12+2話、さらに その後の好評を受けて製作された2期「けいおん!!」として24+3話があるの だけれど、この『映画 けいおん!』は2期の話の補完として成立している。 そして、特にその2期が狙っていた「彼女たち4人が高校3年というの何気ない 1年間をたぶん卒業後に思い返したらこんな感じになるんだろうな」という なんとも言えない空気を、その24+3話と分け合った作品となっていた。 故にTVアニメのほうを観ている人間は途中でこれが何をやろうとしているか 気づくのだけれどそれでまたぐっと来る。 そんな作品に仕上がっています。 ん、何かまだ奥歯にものが挟まっているな。 そうだ、ネタバレ改行前にこれだけは言っておかないと。 やっぱり、私はこの作品が好きだ。 改めてそれを強く感じた。 何も起こらないけれど、うまいし、感情を強く揺すぶられる。そして、本当に 良かったね。あなた達が幸せそうで本当に嬉しいよ。そう思わさせてくれる 作品でした。 さて、以降ネタバレ改行。 まさか「天使にふれたよ」を持ってくるとはなぁ。 何をしようとしているのかわかるのは「けいおん!!」も同じ(最初の数話で「卒業式 回で泣かせてやるぞ」的な匂いが良い意味でぷんぷんしていた)だったけれど、この 『映画けいおん!』もそういう意味では同じ構成を取ってきた。 で、さらにそれだけかなと思ったら2期2クール目のOPの「アレ」を本当にやり やがった。 曲はそりゃあ違うけれど、グルグル回ったりもしなかったけれど、うん、「天使に ふれたよ」の方に気を取られていてすっかりやられてしまったよ。こういう不意 打ちな卑怯展開もTVアニメと同じ構成だ。 で、まぁそんな仕掛けは別としてもOPからまさかの展開にはやられてしまったし、 これ、どんどん解体していくと「けいおん!!」のシリーズ全体構成と『映画…』の 全体構成を意図的に同じにしているかもしれないな。 途中に夢ネタもあったし ネタ的にはどれも好きなモノばかりだったなぁ。 全話観ていないと分からないコネタもいろいろと生きていたし。 劇中曲に新曲が無かったのはちと残念だったけれどまさかのごはんはおかず英語 (?)版も聴けたし、OP/EDはテレビの時と同じコンセプトで新曲。特にEDは映画 館の大画面意識したものになっていて、あああれだけでももう一回見に行きたく なってしまう。(病気か?) いやいやOPだって相変わらずの良さ。  っていうかホント最初に戻るけれど、ああ、いつもと変わらない。それがとても  嬉しくてしょうがない。けどちゃんと映画なんだよねというのがまた嬉しくて  しょうがない。 それを再確認させてくれたのが個人的にはすべて、かもしれない。 何だろう。1年以上経ったのに、ああ何も変わっていない。それが良かった。 うん、何かこれ以上書いても、たぶんこうやって如何に愛しているかということを 延々と繰り返すことになりそうだ。 ただ、こうやって映画として映画館で見れたことが本当に良かった。 これで締めくくっておきます。 【以降2013/05/01追記】 『映画 けいおん!』を久々に鑑賞。 (2013/04/30 at WOWOW) いや、見るつもりなかったんだけどたまたまテレビ付けた時間に始まる少し前だったので。 しっかり松竹のところから観させていただきました。 画面の前で松竹コールはしなかったけれどね。 まあ持ってるのはDVDなのでああやはり綺麗なのはいいなあなんて思って見ていたけれど、 やはりあのロンドンパートのワクワク感と懐かしさの入り混じった部分とか、戻って冒頭からの 音楽ネタのぶち込み方から、最後は40話近い30分のテレビアニメすべての集大成に至る まで楽しませていただきました。 何かもう幸せというのはこういうことをいうのだろうな。 目に入れても痛くない孫というのはきっとこんな感じなのだろう。(何か間違っている)

『刑事ジョンブック/目撃者』"Witness"(1984)

(95/11/08記 at Niftyserve FMOVIE 15番会議室)  真っ暗な都会、犯罪に巻き込まれ、一転して明るい空に囲まれたアーミッ シュの村でのなごやかな生活。このギャップが余計に心を洗われたような気が します。                            KANAME(CXE04355)

『K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝』(2008)

(2008/12/29 at TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン6)   (2008/12/31記) 『K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝』を観ました。 いや、参りましたという他ないです。 オープニングのタイトルが出る頃には涙流してましたから。 (以降、ネタバレしていますので、未見の方はご遠慮を。) 原作読んで、さらに既に観た方の感想などもちらちらと読んでいたので ある程度覚悟はしていたのですが、このビジュアルを見せられた日には…。 いや、もう歴史改変もの、しかもスチームパンク的な方向に持ってくは、 怪人二十面相ネタ、本作の原作ネタは拾いまくりだわな上に… 宮崎アニメやらスパイダーマン、バットマン的なものに至るまで詰め込んで。 おっとALWAYSの発展形もありましたね。 パンフ(まだ少ししか読んでいない)には羽柴ビルは六本木ヒルズと書か れていましたが、本作観賞後に喫煙所で一服していたら東京タワーの左脇に 先ほどまで観ていたような建物が。たぶん愛宕ヒルズあたりだと思うの ですが、いつ夜空が裂けてな状況になるかちょっと期待してしまいました。 …というわけで六本木ヒルズにお寄りの際はぜひ。 閑話休題 それはさておき、本当にやりたい放題。 山崎監督もその傾向があったのだけれど、本作は監督でもある佐藤嗣麻子 監督の脚本。 山崎監督のちょっと弱い部分が佐藤監督によってより手馴れたものになって より良くなっているような気がしました。 女性らしいワンポイント、手のところを始めとする葉子お嬢様(笑)の扱い は特に良かったなぁ。 最初のほう、ともするとテレビ的な画調やセットが少し気になったりはして いたものの、後半加速がついてからは一気に吹き飛びこれでもかなシーンと なるのも見事。 陸軍省の件から最後のあのビジュアルまで、実写、CG入り乱れての面白い ものをみせてもらいました。 ガジェットの使い方もホントにツボでした。 特に平吉の装備! あれは無理でしょと思うほどの荒唐無稽さを惜しげもなく使ったおかげで テスラのほうがかえって現実的なものに見えるくらいな。 そのテスラも、タイプライター!だものなぁ。 話変わって、同じ歴史改変ものでもアニメ版「スカルマン」やら「高い城の 男」などとも少し違う世界、戦争回避して存続している世界にしてこの話を 成り立たせたのも見事。 「二十面相の娘」(一応二十面相の存在を除けば歴史は変えていない)に 雰囲気は似てるものの、そこを変えたところである意味ガジェットに対する 制約がありませんよというエクスキューズを付けたのは、実写の場合より 良かったように思います。 続いて役者さんたち。 金城武は前述のテレビ的な匂いを消してくれたと同時にある種周りの大人た ちと違う存在足り得ていたし、仲村トオルはちゃんとダースヴェイダーして たし、本郷奏多に小林少年というのも「匂い」を感じさせてくれたし 松たか子も最初ちょっと年齢的にこの役?とおもったもののお嬢様の絶妙な バランスを醸し出してくれたし、ほぼ反則技なあの方を二十面相に持って きたのも見事だし、国村隼は文句なしだし。 おっと忘れてた! 帝都には絶対必要なあの方も出演していたのにはホント参りました。 あの方は二十面相どころではないからなぁ。(笑) あとそうそう、最初要潤が出てきた時、なぜか頭の中がゲシュタルト崩壊 していたのか、あれ金城…じゃないよなぁ要潤…あれ、これだれだろうな んて思ったのさすがに私だけか。 思い出しながら書いているとまだまだ出てきそうだ。 いやいや本当に楽しませていただきました。

『ゲーム』"The Game"(1997)

(98/02/14記 at FYOUGA 2番会議室) 『ゲーム』を観ました。(98/02/14 at 新宿グランドオデヲン座?)  いやぁ、よくやった、デビッドフィンチャー!! 私はあなたが大好きです!! もうすっかり気に入っちゃいました。 (以降ネタバレがあるので、観てない人は読まないほうが良いです。)  忘れかけた過去を映す8mmフィルムのような画像のインサート の仕方がまず良かった。起こった出来事の前後関係も、何もかもが 混乱していて、ただ印象に残ったことがフラッシュバックされてい く。  そして、「はいここでゲームオーバー。」という所から戻ってく るまでの部分も好き。舞台は一転して、ダレかけた話を一気に最後へ と進ませてくれる。  そして・・・ 最後、屋上で飛び散る火花・・・そしてドアが開く。 ここで終われば凄く気分よく(と言うのもおかしな話だが)観おえる 事が出来ただろう。  もしくはパーティに人が集まっている。いろいろ知った顔がこちら を観て笑っている。弟も来たぞ・・・とそのままフェイドアウト。 ここで終われば、「あ、この場面は死後の幻想なんだ。余韻の残る終 わり方だなあ。」と観おえる事が出来ただろう。  しかし、そこで終わらせず、予想もしなかった終わり方!! まるで、『セブン -アナザバージョン-』とか銘打って公開されて 観に行ったら内容がまるで変らない。おかしいと思いつつ観ていると 最後ブラッドピットが開けた箱がびっくり箱で、「みんな嘘だよ〜〜 ん。」とか紙をくわえたピエロが飛び出てくる。周りの皆も笑ってい るぞ。と言った事をやられたような感じだ。  本当はそれがやりたかったんじゃないか?>デビッドフィンチャー (笑)  もし、『セブン』を作っていなければ、ここまで楽しめなかった かもしれないが、これは絶対確信犯だと思う。 そしてこういう確信犯的な事をするデビッドフィンチャーを、私は 大好きです。 さあて、次回作はどうする? 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 かなめ(CXE04355) URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『外科室』(1992)

(2008/09/18 at 日本映画専門チャンネル)   (2008/09/18記) 『外科室』を観ました。 (2008/09/18 at 日本映画専門チャンネル) そこにあるのはただ原作に対する愛情。 その美しい言葉をひとつも逃すまいとする愛情。 そこに、さながら野外演劇のような手法が加わる。 そこに封じ込められたものを堪能するという喜びを ただただ味合わせていただきました。

『県庁の星』(2006)

(2006.2.25記) 『県庁の星』を観ました。(2006.2.25 at ヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン2)  素直に面白かった。そしてウェルメイドな映画だわ。 物語としてはきわめてオーソドックス。良い意味で少しひねっている部分もある。 そしてキャスティングを始めとしてすべてが良い意味で堅実に作られているので 観ていて素直に楽しめました。  撮影というかカメラの視点がよく見るとまた面白い。ほんの少しセミドキュ メンタリーな視点がたまにあって、これがまた楽しめました。  これらすべて『電車男』を観たときと同じ感覚だな。 東宝/フジテレビの制作で監督が同じ共同テレビ出身という事で、東宝/フジ テレビ/ROBOTや東宝/フジ/三谷というパターンとはまた違う意味でもうひとつ ブランドイメージを作ろうとしているのかなと思えるくらい小気味良い小品に だったな。  織田裕二と柴崎コウがまたこれにぴったりはまってました。良い役者が 良い役者に囲まれて安心した芝居を観れるというのはやはり良いものです。  もしこれが本当にブランドイメージを作ろうと狙っていた作品だとしたら、 今の日本の映画界として良い傾向なのだろうな。  奇をてらわずウェルメイドという意味では中者後者と同じであるものの、 方向性がそのどちらともちょっと違うという事で、今後もこれも良いものへと なっていくことを切に願います。