『特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』(2023)

(2024/03/20記) (2024/03/20 Amazon prime) 『誓いのフィナーレ』に続いての2年生編。 もともとOVAとして企画されていたという意味でも誓いのフィナーレのその後の ミニエピソードという色合いが強かったかな。 しかしすっかり懐かれてますなぁ。イマジナリー久美子なんじゃないかと思えて しまうくらい良い感じに出てくる奏。 ワンポイントで出てくるのが、もうみぞれや希美、なつきだったり、まあ 当然前作より2年生感が強くなってるし部長らしくもなっている。 久美子らしさは自主練での葉月とつばめへの気づきだったりで出ていて、まぁ ああいうのは麗奈には無理だからななんて感じでユーフォに対するギアが 入ってきた感じ。 ユーフォの場合、『リズと青い鳥』を除けばむしろTVアニメの方で本領を 発揮していたので「3」へと続く物語としてこういう差し込みがあっての 4月からの放送というのはとても嬉しいです。

『ピンクパンサー3』"The Pink Panther Strikes Again"(1976)

(2024/02/11記) (2024/02/11 Amazon prime) メインイベントが始まるまでの1時間で既にお腹いっぱい。 というよりは作品の世界観に対する慣らしがそれで終わった感じで始まる オクトーバーフェストとその先。 ここに至るまでのドレフュスの有能っぷりとそれを上回るクルーゾーという図式。 ひたすらなビーターセラーズの文字通りの一人芝居にハーバートロムがある意味完全に 乗っかった本作はこのシリーズで一番好きな作品。 昔は色々と元ネタを聞いたりしたが今はもうほとんど覚えていない。たぶん ホワイトハウスパートがあそこらへんだろうという事と、Come to Meのセラーズが モーリスシュバリエだったかなという事くらいか。 今見ると一段と隙間が多いようにも思えてしまう作品だけれどそれを埋めるマンシーニの サントラの素晴らしさよ。Come to MeはあのシーンでもBGMとして使われていたのね。 最優秀暗殺者はエジプシャン。(ノンクレジットのオマー・シャリフだったらしい。) 本作で一番印象に残っているのがドレフュスのチェシャ猫ライクな最後だけれど、 真骨頂はやはりCome to Meのメロディにのって繰り広げられるセラーズのマイム。 個人的にはA Look of Loveと双璧をなす好きなシーンです。

『ヒッチャー』"Hitcher"(1986)

(2024/01/29記) (2024/01/28 2023ムービープラス放送版) そういえばこの頃のHBOって今で言うネトフリみたいなポジションだったなあとタイトル ロールみて思いながら、去年録画していた本作を久々に鑑賞。 HDニューマスター版という事だったが、たしかにこんなに鮮明なのは観たことが 無かったな。 ひたすらきれいな空の青とほぼほぼ直線なハイウェイ。ひたすらな砂埃。 ゲームのルールが確定するまでが凄く早いんだよなあ。 しかも仕掛けられた本人はいつまで経ってもわからない。 この手際の良さも好き。 改めてみると『セブン』とか『ダークナイト』の根っこと同じだったんだな。 まあジャンル的には実は馴染みが薄い方なので本作以前のこの手の作品があったかは よくわからないが、個人的にはこの作品が初めてだったかな。 動機が分からないのではなく最初から明白というもの。 前半割と予算絞っているなと思わせておいてガススタンド爆破くらいからアクセル 踏み始めるあたりは好き。 それでも無駄な事はしないという所も含めて。

『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』(2019)

(2023/07/29記) (2023/07/29 amazon prime) たしか明日にはYou Tubeで無料配信だったような気がしたが、こういうのは タイミングだからなということで鑑賞。 失言王は健在だが少しは成長したか。 冒頭であっさりとまんざらでもなかった事を再確認してのスタート。 低音部なかなかの曲者揃いだったが久美子は久美子だったが故に固まっていく所は やはり心地良い。 しかしやはり作中世界でも近いと思われていたか。 常にべったりではないけれど一緒の時はホントにべったりだものなあ。 対して秀一とのペンチシーンよ。 わあ、リズと青い鳥だ。 それは当然ではあるのだけれど、リズと青い鳥だ。 演奏シーン、やはりたっぷりと。 これを堪能させてくれるのは嬉しい。 直前、原点に帰る所も好きだな。 あれが始まりだと言い切る久美子の凛々しさよ。 役者について。 無印では黒沢ともよと安済知佳のどちらかと言えば生々しさに振った演技の上手さを 再確認させてくれたり、それこそリズと青い鳥では種崎敦美の魅力を再確認させて くれたような本シリーズだけれど、本作においてはそれらの人達を周りに置いての 雨宮天のピンポイントに落とし込んだような微妙に変化していく奏を堪能させて もらいました。 最初のシーンでの甘さと奥ゆかしさから、徐々にそれを額面通りに受け取るな というメッセージを込めた後輩らしさに変わっていき、それを段々隠さないように なって自然と本来の奏が見えてきた上で本音を出した時のそれでも今までの延長線上に いるところ。 元々上手い子達の魅力を引き出すのが本当に上手いよな。

『ピンクの豹』"The Pink Panther"(1963)

(2020/05/21記) (2020/05/20 at Movie Plus録画) 登場直後30秒も経たずに本領発揮するピーターセラーズよ。 2回目は1秒も経たずに。 これ、予備知識も無しに見たら何が起こっているのか理解不能だろうな。 本線は至って真面目に進んでいるのだから。 カメラ固定でのこれでもかと言わんばかりの見せないシークエンスの素晴らしさよ。 と、ここまで来れば後は身を任せるだけかな。 それぞれけっこう酷い事してるのだけれど相手がデビッドニブンとロバートワグナー だからという事で許されてしまうのも今となっては時代が故か。いや、今も ただしイケメンに限るだな。

『劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜』(2016)

(2019/08/29記) (2019/08/29 at 新宿ピカデリーシアター1) お姉ちゃんとあおいちゃん、やはり居なくなっていたか。 つい先日テレビアニメの方を見直していたから、特に序盤はけっこう飛ばすなあ なんて感じで観ていた。 そしてつい先日見直していたからこそその意図もちゃんと理解しながら。 音楽室のドアあたりだよなあ、スイッチが入るのは。 ちゃんと防音してあるのがこの劇場版だとよくわかるってあたりから耳を 研ぎ澄ますようになる。 所々新規ショットが本編と違和感なく。 サンライズも意外と手をつけたんだな。 そしてあそこらへんはしっかりと。流れがわかるように匂わせながら。 やはり劇場版は耳がより幸せだ。 テレビアニメでもちゃんと分かる上手さのさじ加減がより音楽的で心地よい。 中世古先輩の悔しさはもちろんのこと、久美子や麗奈の中学時代とか、そして 当然久美子のあのシーンなんて悔しくてしょうがないのが伝わってくる。 やはりあそこらへんは叫び声も顔も新しくなってあたな。元から素晴らしい ところもちゃんと使ってる。 消えた人もいたが当然彼女は出てくるわな。あそこのワンシーンが意味深になる。 意味深なシーンはそのまま残って次に繋がる。 最後には次へと繋がる言葉で終わる。 さてこれを見たからには次は。 スクリーンで見ることができてよかった。 新宿ピカデリーも少し気合い入っていた。

『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』(2017)

(2019/09/02記) (2019/09/02 at 新宿ピカデリーシアター1) そうか。そこから始まるのか。 ある程度は予想していたがあれとあれは丸々パスしたんだな。いきなり歓談してるし。 しかしそうまでしても前作同様に総集編ではなく劇場版なんだよなあ。 素晴らしかったのはそのためにお姉ちゃんとのあのシーン、一切描かずにうまく 処理したなあ。 そこまでしてで描かれたあすか先輩との物語。しっかりと堪能させていただきました。 そして当然、駅ビルコンサートといいラストの三日月の舞といい映画館、というか 新宿ピカデリーのシアター1もしっかり堪能させていただきました。 冒頭ちょっとやりすぎじゃないかとも思ったけれど、おかげで駅ビルなんてもう 良かったわー。 三日月の舞フルはテレビアニメの時点でもう十分かなと思ったけれど、やあ、やはり 映画館は良いわ。 そして締めは響け!ユーフォニアム。 テレビアニメのあれはものすごく感動的な引きではあったのだけれど、劇場版は こうきたか。 そりゃ堪能したいよね。 見ることができて良かった。

『ピアニスト』"Le Pianiste"(2001)

(2002/03/10記 at @nifty FMOVIE 2番会議室)  『ピアニスト』を観ました。(2002/03/10 at シネスイッチ銀座)  この作品は、まぁカンヌ絡みで有名にはなったものの、個人的には、 『愛・アマチュア』などで大好きなイザベルユペールが主演していると いうことと、話に聞くかぎりでは、方向性は違うものの、その『愛・ア マチュア』と近い役柄をしているということ。 (以降、実際の内容に関する印象に触れます。) いやぁ、本当に凄い映画でした。ストレートな意味で、こんなに面白い映 画を観たのは、ホント、久しぶりかもしれない。そして、のめり込んだ上 で、満面の笑みを浮かべて映画館を後にした映画って、初めてかもしれま せん。 最初は、すごく生理的に、観客とスクリーンの距離感をなくすのがうまい なぁ。こんな間の取り方ってあるんだなぁと思いながら観ていました。 まるで、今同じ映画館の中にいて、たとえば隣に座って袋をガサゴソだの しているといわれてもおかしくないくらいの間合い。普通の映画を観てい る時の計算されたような間合いではなく、そこからちょっとずれた、それ でいてわざとらしさや素人っぽさもない間合い。そして、カメラの視線は、 まるで私たちがその場にいて登場人物たちをみつめているかのような視線。 これ、すごく気に入ってしまいました。 なんて思いながら観ているうちに、今度は、イザベルユペールのキャラク タと自分自身がだんだんシンクロしてくる感覚。 実は前述の『愛・アマチュア』の時も、その時のユペールのキャラクタに シンクロしていたのですが、キャラクタそのものは違うにも関わらず、こ れは自分そのものだなぁなどという感覚になりました。 このエリカというキャラクタの行動は予想できないにも関わらず、それで もこれは自分だという感覚。・・・うまく説明できないのがちょっと悔しい。 で、このキャラクタにここまではまってしまうと、ほとんどシンクロして しまうのですが、たまにそこからも「ポン!」と突き放されるんですよね。 「え!」という一瞬。けれども、それもまた受け入れてしまうんですよ。 いつの間にか、そういうキャッチボールに変わってくる。 この間もまたいいんですよ。 映画の内容からして、場合によっては人から誤解されてしまうことを恐れ ずに言えば(と言っている時点で既に恐れがあるという矛盾は置いた話で) このドキドキ感がなんともいえない。内容そのものではなく、映画的なも のに対してのドキドキ感。 これは、過去に一度も味わったことのない感覚です。 などとぐるぐる廻っているうちに、今度は、さきほどまで感じていた、 エリカが自分であるという感覚が、実はこの「自分」というのは、「個人」 という意味での「自分」ではなく、「人間」というひとくくりが実は 「自分」であるという感覚へと移行します。このキャラクタは、「人間」 そのものであるという感覚。 そして、映画的な終わりが訪れます。そうだったね。なんて思いながら 終わりを待ち受けると、あれ、まだ続く。 ここでますます先が読めなくなりつつも、ドキドキ感は高まり、「ポン!」 と突き放されてはシンクロし。 これが何回続いたんだろう。 「自分」というものは決して「相手」を理解できず、かといって理解も得 られずということを、それこそ何度も何度も突きつけられて、それを受け 入れる事で、話が終わります。 けれども、映画は終わっても、自分はそこにいる。 それも、気がついたら満面の笑みなんですよね。声を出して笑うでもなく にやにや笑いでもなく、ただ、満面の笑み。 これには参りました。 しかし、もうひとつ参ったことがあって、このままだと、きっとそのうち 観ようと思っていた、『マルホランドドライブ』や『カタクリ家の幸福』、 そして『アメリ』も楽しめないんじゃないかということ。 これって、リンチの不条理も、人間そのものにはまだ遠く及ばないもの なのかなと思えるくらいに、まだ観た後の感触がここそこに漂っている 状態です。 kaname(CXE04355)

『ピースメーカー』"The Peacemaker"(1997)

(98/01/16記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  『ピースメーカー』を観ました。(98/01/15 at 池袋シネマサンシャ イン1)  あの「ドリームワークス」の第一弾! と言うことで、久々のロー ドショー公開初日の初回を鑑賞と言う形で観ました。 が、あいにくの大雪。しかも午前9:20の回と言うこともあって メインの客層は、中学生と高校生。入りは40%と言った所だった でしょうか。  さて、本編。 こんなにうまいアクション映画の作り手がいたんですね。私は「ER」 の方はまったく観ていないので、このミミレダー監督の作品は初見だっ たのですが、話の導入といい、主人公達の行動原理といい、凄くスムー ズで自然で、さらにはダレが無く気持ち良いくらいとんとんと話が進ん でいく。観ていて気持ちが良かったです。 (以降はネタを想像できる話になります。もしくはバラしている部分 もあります。)    例えば、あの友人を殺されたときの、デヴォーの行動。怒りに満ちて いて、観ている方にも感情移入させてくれます。もしくは、ヘリがミサ イルで撃墜された後、兵士達の資料を観て泣きながらも、任務へと向か うドクター・ケリー。  例えば、導入部の核強奪までのシークエンス、長いながらもひと息に みせてしまって、観客を取り込んでしまう所。  そういう部分がダレなく続いていて、とても見応えがありました。 しかし、その中でも、一番良かったのは、最後まで残った、核強奪の 主犯(うまい言い回しが思い付かない)デューサンが、決して、非情 な奴でも犯罪のプロでもなく、さらには、観客に感情移入させる動機 を持っている事。あの、過去の無差別狙撃の回想の入るタイミングか ら、感情移入は完全に彼のほうに行ってしまいました。もうそこから は普通のこの手の映画の、犯人を追い詰める感覚はまったくなく、 「おい、本当にこいつを殺さなきゃいけないのか?」と言う感覚。 と、同時に、NYの雑踏の中を逃げるデューサンを見て、『太陽を盗 んだ男』の沢田研二も思いだしていた。 さらに複雑な感情になり、泣きながら観ていました。(ここらへんは うまく言い表わせられない。)  というわけで、本当に良かったです。この人007シリーズ撮って くれると凄く嬉しいのだけれど。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 かなめ(CXE04355) URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 B.G.M『ワイルドバンチ』オリジナルサウンドトラック ああ、ますます観たくなってくる。(^^;

『ビーン』"Bean"(1997)

(98/03/15記 at FYOUGA 2番会議室) 『ビーン』を観ました。(98/03/14 at 立川シネマシティ シティ1:先行 オールナイト)  私は残念ながら、まだTVシリーズの『Mr.ビーン』は観たことがありま せん。が、いろいろなところに紹介されているいろいろなシーンシーンが面白 そうで、早く観てみたかったものですから、先行上映を観に行ってしまいまし たが、期待以上に良かった!! (以降、ネタバレあり)  まず、当たり外れが多かったのですが、もう笑えるものは思いきり笑わせて いただきました。一番おかしかったのは、やはり「イエスタデイ」ですね。こ れからあの曲聞くたびに思い出しそう。(って今も思い出し笑いをしている。 (笑)) 次あたりが、遊園地の乗り物かな。まぁ、あちらは少々お約束すぎ るところはありましたが。  しかし、もうある程度キャラクタが作られているシリーズだし、ましてや、 あの展開で本当に収拾がつかなくなって、もうどうなるんだろうと追い込まれ てからの、あの展開は見事でしたね。根本的な解決には決してなっていないに しろ、見ていて気持ちよかったし、故に、そのあとにだめ押しで笑わせてくれ、 さらには泣かせてくれるとは思ってもみませんでした。よかったぁ!  見事に映画していました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 かなめ(CXE04355) http://member.nifty.ne.jp/kaname/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『日陰のふたり』"Jude"(1996)

(97/08/14記)  しばらく、この手の映画を観ていなかった私は、はっきり言って少々不安 でした。物語全体の空気は好きだけれども、単なるコスチュームプレイで終 わっていたり、物語をなぞるだけで終わったりと言うものが多いのも事実な ので。  しかし、この映画は違っていました。 画面に立ちこめる雰囲気も、話の展開も、何と言うのでしょう。私と息が合 うのですよね。色彩もまとめられた映像は、ともすると単調になりがちなの に、それがない。最初は感情移入できなかった主人公も、気がつくと、同化 してしまっている。それがまったく不快ではないのです。  これは、監督のうまさなのでしょうね。そうとしか説明できない。何故だ かわからないけれど、偉く気に入ってしまいました。

『ひかりのまち』"Wonderland"(1999)

(2000/09/10記 at @nifty FMOVIE 2番会議室)  マイケルウィンターボトム監督の『ひかりのまち』を観てきました。 (2000/09/09 at シネセゾン渋谷)  実は、このウィンターボトム監督の作品は、私にとって非常に波長の合う 物ばかりで、とても好きなのですが、残念ながら今まで、「明るい」と言わ れている方の作品は観ていないんですよね。(『日陰のふたり』『バタフラ イキス』『ウェルカムトゥサラエボ』『アイウォントユー』は観ているが、 実はいまだに『GO NOW』は観ていない。(^^;)  そういう意味で、前評判から聞こえてくる限り「明るい」と言われている この『ひかりのまち』は、私にとっては初めての「明るいほうのウィンター ボトム」体験ができそうな作品。  ということで、いつも以上に期待と不安の入り混じった状態での鑑賞となっ たのでした。 (以降、内容に触れます。)  観客に対する説明を極力省き、かつ極端なドラマを作らない事で、観客を 徐々に取りこんでくる独特のリズムは相変わらず。  特に、最初とまどってしまうパズルの破片のような人間関係が、後半に なってどんどん見えてくるこの構成は、見事だなぁと思いました。 (というか、ウィンターボトムじゃないとこんな効果的にみせられないんじゃ ないかと思う。)  そして、原題であるWONDERLANDという単語が頭の中にあると、必ず耳に するだろうと予想してしまうAliceという単語が、中盤のやや前半で入って きたことで、そこから先は、この映画が何をやろうとしている教えてくれる という仕掛けもなかなか好き。(この映画が、welcome to WONDERLAND,Alice. という映画であること。)  ただ、後半になるとややマイケルナイマンの音楽が、「最近の北野武作品 における久石譲」化してしまい、私にとっては、音楽がややうるさく感じて しまいました。  それでも、ダレンの声を聞いたお父さんのくだりは、その瞬間の意図的な カットの挿入もあって、思わず涙を流してしまいましたけれど。  そして、初体験の「明るいウィンターボトム」は、「やはり私はこの人好 きだわ」という結論に至ったのでした。 kaname(CXE04355)

『ビッグリボウスキ』"The Big Lebowski"(1998)

(99/02/05記 at Niftyserve FYOUGA 2番会議室)  『ビッグリボウスキ』を観ました。(99/01/04 at 渋谷シネマライズ)  さて、問題です。 この映画のオープニングとエンディング、実はとある映画の同様の部分と似て いる(というか似せたんだろうなぁ)のですが、さて、その映画とは何でしょ う? (以降、ネタバレしています。)  答えは、ロバートアルトマン監督の『ロンググッドバイ』でした。 この映画、オープニングのタイトルロールが、ジョンウィリアムス作曲の、な かなか渋い曲で・・・じゃなくて、オープニングで、主人公フィリップマーロ ウ(エリオットグールド)が、深夜に猫のためにスーパーに餌(カレー印のキ ャットフード)を買いに行くのですが、一方のデュード(ジェフブリッジス) の方は、スーパーで・・・何をしてるんだい!!(笑)  そして、最後は両方とも友達の死を自覚することで終わります。(しかも、 その友達は、話の本筋とは関係ない!)  まぁ、これ以上多くは語るまい。(たぶん)  などという所も好きなのですが、主人公と、周りを取り巻く人間関係のおか しさは相変わらずのコーエン兄弟、今回も、話とは結局関係のない人たちが、 この異常な世界を日常に思わせる役回りを演じていて、それも好き。(けど日 常で赤い服着てでっかいハサミ持って追いかけてくる奴はいない・・・と思 う。)  それでいて、いつの間にか話にケリを付けてしまう所も、レイモンドチャン ドラー原作のマーロウシリーズの中で、もっとも原作に近い精神を持った『ロ ンググッドバイ』に似た空気を醸し出してくれます。  けれども、やはりミュージカルシーンが一番好きなのは、『未来は今』では、 「剣の舞」が、『ナッシングトゥルーズ』では、踊る警備員が好きな、私らし いのかもしれません。(^^) 〜〜〜〜〜〜 99/02/05(金) 〜〜〜〜〜〜 かなめ (CXE04355) mailto: takashi.miyamoto@nifty.ne.jp     kaname@a2.mbn.or.jp URL http://plaza2.mbn.or.jp/~kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/ http://member.nifty.ne.jp/kaname/cinecom/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 P.S.なにかこのキャラクタで書くのは4年ぶりのような気がする。(^^;

『羊たちの沈黙』"Silence of the Lumbs"(1991)

(2005/08/28記 at Production note of ...) 深夜なんとなくテレビを観ていたらたまたまかかったので、思わず観てしまいました。 (2005.8.26 at フジテレビ) 深夜枠なのでぶつ切りな部分は覚悟していたのだけれど、逆に中盤の緊迫した場面を 一切コマーシャルを入れずに一息にみせてくれたのは良かった。 これは以前同じ枠でやっていた『Uボート』でも同じようなことをしていたので、 局側が意識してやっている事なのかもしれないのだけれど。 さて、あらためて観てみるとやはりB級色思い切り強いし、しかもそれを楽しんでいる 作品だわな。さすがジョナサン・デミ。 そしてジョディ・フォスター若いなぁ。(あ、もちろんアンソニー・ホプキンスも) そして、やはりレクターとクラリスの心理戦や鳥籠からの脱出劇、クライマックスの ミスディレクションは何度観ても良い。 もちろん、余韻のあるあのラストもね。

『ヒトラー 〜最期の12日間〜』"Der Untergang"(2004)

(2007/10/22記) 『ヒトラー 〜最期の12日間〜』を観ました。 (2007/10/20 at NHK-BS2) この映画を作ったスタッフとキャストには本当に拍手を送りたい。 題材が題材なだけにいろいろな葛藤や苦労があったと思うけれど、 逃げをせず、こうやってこの題材をこの内容で丁寧に作り上げた事、 これは称賛に値すると思う。 これはホント凄いわ。 で、これを観るとこの作品の監督であるヒルシュピーゲル監督の 他の作品も観てみようかなという感じになるが最新作の『イン ベーション』(『恐怖の街』のリメイク作品である『SFボディス ナッチャー』のリメイク!)の評判が今ひとつなのは何故かなぁ とimdb見てみたら、スタジオ側がダメダシしてウォシャスキー兄 弟にリライトさせてそのパートを別の人に監督させちゃったのね。 元が良かったのか悪かったのかわからないけれど、それでは評価 不能だわな。

『101匹わんちゃん大行進』"One Hundred And One Dalmatians"(1961)

(97/05/05記 at Niftyserve FYOUGA 4番会議室) (ネタバレあり)  今日WOWOWで放映された『101匹わんちゃん大行進』を観ました。  先頃公開された実写版の『101』も、これを観てしまうと、ちょっと影が 薄くなって来てしまった。面白いわ、本当に。  まず、やはり凄いのは細部まで細かく描かれた背景。人物の動きのしなやか さに関しては『白雪姫』などと比べるとそんなに目立たないものの、たとえば 建物の中の細かい影やひびなどが細かく描かれているのが、1カット1カット 芸術作品といった感じで気に入ってしまった。  そして話の展開としてもテンポよく、最後までひと息に見せてくれてよかっ た。実写版は「ロンドンからの電報」まではよく出来ていたけど、それ以降の 展開はやはりこちらの方が良かった。吹雪の中を進む小犬達などは本当に可愛 かった。実写版の方は人間達を描く時間を多くしてしまった分、小犬達の部分 は減らされてしまったのだろうな。それを考えるともっと『ベイブ』みたいに 開き直って、動物達メインにしてしまった方がよかったのかもしれない>実写 版。  と言う訳で、すっかり気に入ってしまったkanameでした。 97/05/05記 kaname(CXE04355)

『病院坂の首縊りの家』(1979)

(2007/05/06記) 『病院坂の首縊りの家』を観ました。(2007/05/03 at NHK-BS2) これは今回(市川崑版金田一シリーズ)の中で唯一初見の作品。 キャストは『女王蜂』から比べるとかなり地味になってしまった ものの、この作品にとっては適材適所で良かった。 (横溝夫妻+中井貴恵はまぁ。(^^)) 特に当時はなんとなく観る気がしなかった理由のひとつ、桜田 淳子がホント良かった。思い込みはホント良くないわな>私 一方、スケキヨなあおい輝彦は今回特に後半はほとんど矢吹 ジョーだったのはまぁしょうがないといえばしょうがない のか。(^^; ただ、今までの作品は役者で観ていたのに対し、この首縊りは それよりも話に惹かれたかな。 既に金田一は話の主人公であることをやめてしまっていて、 加藤武演じる(たぶんタチバナかトドロキだと思う)警部も ややそれに近いポジション。 ふたりとも今までの事件で疲弊しきっていて、まるでもう この世には存在しないかのような感じだった。 その代わりに動き回るのが草刈正雄というのが強引だなと 思いつつも面白かった。 もはやすべての後日談という雰囲気で。 そこを話の上で桜田淳子や佐久間良子、そして最後に美味しい 小林昭二がしめてくれたという感じでした。 お疲れさま。

『ビヨンドサイレンス』"Jenseits Der Stille"(1996)

(98/05/18記)  柔らかくて優しく、素敵な映画でした。登場人物も、皆愛おしくなるような 人達ばかり。そして、こんなに観た後に良い気分にさせてくれる映画は久しぶ りでした。

『HIRAKATA』(2004)

(2004/08/14記)  『HIRAKATA』を観ました。(2004/06/03,04 at テアトル新宿)  ジャンヌダルクという実在のバンドに関わるひとつの出来事(母校での在校 生限定ライブ)に虚構である2つのエピソードを絡め、さらにバンドメンバー のインタビューというドキュメントを混ぜ合わせる。  さじ加減ひとつ間違えたら空中分解しかねないようなものを、よくまぁひと つにまとめあげたと思う。  しかも、観る人によって、もしくは観るたびに違う視点もしくは力点で観る と違うものが見えてくる。  個人的にもこういうタイプの作品は好きだったりするんですよね。  最初に観た時には、(バンドそのもののファンではないせいかそれとも単純 に趣味嗜好のせいか)どちらかというとドラマパートに面白さを感じていたの ですが、インタビューの絡み方も、実は加速感があったりしてふむふむといっ た感じ。  ライブのほうはさすがに『ロッカーズ』経験者(という言い方は変か)な監 督だけあって安心して見れたし、また舞い戻ってドラマパートは、オチをつけ る形でテンポを持つ女性ファンパートと、青春ドラマで突っ走っていく在校男 子高校生パートの絡み方がまたテンポよく、すべてがうまくパッチワークされ ていました。  これからも期待していますよ>監督! kaname(CXE04355)

『ピンポン』(2002)

(2002/11/03記 at @nifty FMOVIE 2番会議室)  『ピンポン』を観ました。(2002/11/2 at T・ジョイ大泉 シアター 4[DLP]) ロードショー上映からは、既に時間が経ってしまいましたが、観る機会 をずっと逃していたことと、つい先週よりこのT・ジョイ大泉と109 シネマズ高崎、そして京成ローザ10の3つの映画館にて、かねてから リクエストがあったこの作品のDLPバージョンでの上映が始まったと の話を聞いたということで行ってきました。 さて、このT・ジョイ大泉にて本日合計3本映画を観たのですが、どれ もほとんど人が居なかった。一番多かった『ザ・リング』でも30人程 度だったというのがちょっと心配。近隣ではかなりレベルの高い映画館 なのにもったいないよなぁ。 あと、今日観た3本は、どれも日本絡み(『ピンポン』は邦画だし、 『ロード・トゥ・パーディション』は原案がアレだし、『ザ・リング』 は邦画リメイクだし。) この『ピンポン』以外は行き当りばったりで観たのに、この確率はや はり何かしらあるのかな・・・。 と余談が過ぎたので本編の話。 (以降、内容に触れます。) いやぁ、凄くよくできていて、面白いわ。(^^) 主役の窪塚洋介があまりにも「窪塚洋介が演じたペコ」にしか見えなく て、まぁちょっとそれは可哀想かなというか今回は荷が重すぎたかなと は思ったものの、他のキャラクタすべてが、役にぴったりマッチしてい ました。ここまで合ってるなぁというのが凄いなと思った。 なので窪塚洋介は余計に残念に思えてしまった。(この分だと『魔界転 生』も危険かな。) そして、切り取られた絵の持つ空間にしても、語られた物語にしても、 見事に原作を映画という形で昇華させたなぁという感じで良かった。 若干手法は違うにせよ、空間の描き方は「気に入る」という言葉で表わ すのが一番正確な表現かな。「あ、このシーンいい!」って思わせる一 瞬がまたいっぱいあって、そして物語としての間も、また良い。 すべてのベクトルがひとつになって、ここまで気持ちの良い映画になっ たんだなって思わせてくれる作品でした。 個人的に気に入っているのがたれ幕の使い方。 「今こそ攻撃」のたれ幕がまたいい時に出てきて「あ、これは!」って 思った。 曽利監督も肩書きだけ見るとどうしても視覚効果系の絵に走ってしまい そうに見えてしまうのだけれど、そういった事以前に、まずこの作品が 好きというきちんとした立脚点を持って描いているから観ていて凄く自 然に感じた。 さらには、今回HD24Pで撮ったということでDLP版なるものが出てきたの だけれど、これがまたしっかりと映画館で観れるタイプのDLP版でした。 というと変に聞こえるかもしれないけれど、同じくDLPで上映された 『スターウォーズ エピソード2』は映画館という枠を越えた別のメディ アという印象が非常に強かった。 これは作品の性質によるのかもしれないけれど、たしかにそういう形態 で撮ってはいるものの、まず、何よりも映画館で見る映画という大前提 において撮ってるなということをヒシヒシと感じました。この思いは、 たぶん同じ24Pでも『リリイ・シュシュのすべて』よりも強いかもしれ ない。 それは決して24Pの文法を分かっていないというわけではなく、逆に消 化した上でこの絵づくりをしている。技術に使われているという部分が まったくない。これは凄いわ。 あと、これは完全に余談になってしまいますが、渋谷で観なくて良かっ たとも思いました。あそこのスピーカで聞いてたら、ここよりはちょっ と耳にきつかったんじゃないかな。これくらい押さえ気味な方が、この 作品も引き立つんじゃないかなって思いました。 kaname(CXE04355)