『空想科学読本』という本がある。結構人気があるらしく、続編が何冊か出ている。
いろいろなことを実際に行ったらどうなるかを 検証している本 例えばゴジラ。放射能を浴びて巨大化したと言うが、実際にやろうとしたらどうなるか?そして巨大化した後、どうなるか?ごく単純な数字を並べるだけで非常に面白い結果になる、ということをつらつら書いている本である。 さて、これらの中で「これはなんなんだ」的に書かれているのがレーザー兵器である。
そう、簡単に言えば ただし、残弾数などを気にせずに使える。 この辺は当然筆者の厳しい追及をうけている。何しろレーザー兵器の一番の特徴はその速さなのだ。 レーザー兵器の速さは光の速さと同じである。光の速さは真空中で秒速30万キロ。大気中では若干落ちるがそれほど変わらない速度である。地球上で撃った場合、相手がよけるような余裕は当然ないのだ。だが実際には兵器でひょいひょいよけている(ただし主人公とボスのみ)。これはもう、狙いそのものがずれているからとしかいいようがないのだが、その様子はない。 結局、これらのレーザー兵器はどうやらレーザー兵器ではないのではないかという非常に曖昧な推測しかできていなかったのだが、最近事情が変わってきたのだ。 光の速さは真空中では秒速30万キロ。しかし、光の通る空間に何があるかで速度が変わる。大気中では若干遅くなるし、水中ではもっと遅くなる。ただし、その速度の違いはせいぜい光の屈折という現象で確認できる程度で通常は秒速30万キロで扱ってもそれほど影響はない。
その速度はなんと秒速17メートル。
これだと今までのアニメや特撮で表現されたレーザー兵器がすべて実現可能になる。何しろ100メートル進むのに6秒近くかかるのだ。普通に歩いていてもよけることが出来る。 では、どのような物で空間を満たせばよいのか?特殊な物だと実現が難しくなるのだが、これがナトリウム蒸気である。ナトリウムならそこら中にあるから調達は難しくない。
百科事典で調べると、ナトリウムの沸点は約900度である(この際正確な数字はどうでもいい)。この程度の温度なら鉄を溶かす温度を作るよりも楽に出来る。めでたしめでたし、と思ってはいけない。 まず第一に、このナトリウム蒸気を相手のところまで充満させなければならないのだ。何らかの方法で自分のところからナトリウム蒸気を噴きだしても相手のところに届くまでに冷えてしまっては目的を達成できない。そのためには溶鉱炉の中か、噴火している真っ最中の火山の火口の中などで温度を保つか、とにかく大量に吹き出すか、しかない。
そしてもう一つの問題は、ナトリウム、と言う物質の性質だろう。ナトリウムはとにかく単体では非常に不安定な物質である。水の中に放り込むと水と反応し、その反応の熱で溶けてその勢いで空気とも反応する。百科事典によると「空気中で融点以上の温度になると炎を上げて燃え上がる」のだそうだ。
うーむ、意外といけそうに見えた秒速17メートルの光は思わぬところで崩れ去ってしまった。そもそもレーザー兵器がちゃんと表現されていればこんな事考えないんだけどね。 以上。 |