雑記帳

フリーソフトウェア・シェアウェア

−1.公式見解?−

まずはこちらをご覧頂きたい。「社団法人 著作権情報センター」と言うところの「著作権Q&A」の中にある「マルチメディアと著作権」のコーナーの一つである。

どうでもいいけど、ここの「リンク登録」って結構傲慢な感じがします。
「インターネット上のハイパーリンクの設定に限り、基本的にリンクの設定は自由です。ただし、リンクは新しいウインドウを開くようにして下さい。」
「リンクは新しいウィンドウを開くように」って言うのはおかしいですよね。「新しいウィンドウを開くようにする」のはリンク元の人が自由に決めることなんですから。


タイトルは「フリーウェアは著作権を放棄したものと考えてよいのでしょうか」。
ありがちな質問である。しかし、これにきちんと答えることが出来ないようでは「著作権情報センター」などと名乗っていてはいけないことでもある。
・・・・無許可だけど、引用しちゃいます(関係者から「問題アリ」の指摘があったら対応します)。ちなみにパートの名前付けはこちらで勝手に行いました。

Aパート
インターネットで入手できるソフトには無償のもの(フリーウェア)と有償のもの(シェアウェア)とがあります。後者についてはソフトを作成・提供する者が著作権をもっていることは明らかですが、前者については無償であるということで権利者が権利を放棄したと考えてよいかが問題となります。

ここまでは全く問題ありません。

Bパート
無償で提供するということは、ユーザーが入手したソフトをいかに複製しようと、またいかに使用しようと権利者はクレームをつけない趣旨と考えられますので、一見、著作権を放棄したかのように思えます。しかし、そのように考えるべきではありません。

「権利者はクレームをつけない趣旨」というのは少し言い過ぎと言う感じもしますが、取りあえず良しとします。

Cパート
フリーウェアを提供するソフト作成者の真の意図は、無償とすることによってこのソフトを広く普及・伝播させ、費用の回収および収益の獲得はバージョン・アップの際に有償にしようと図ろうとしている場合が多いと考えられます。バージョン・アップされたソフトは通常、もとのソフトの二次的著作物と考えられますので、たとえば、Aの作成したソフトがフリーウェアとして公表されたときにその時点で著作権が放棄されたものとして扱われますと、Bによって作成されたバージョン・アップ・ソフトの利用についてAは原著作物の著作権者としてこれにクレームをつけることができなくなるという不利益を受けることとなります。

非常にわかりづらいのでちょっと保留。

Dパート
Aはこのような、いわば自分の首を締める結果となることを自ら容認するはずがないと思われます。したがって、フリーウェアはその作成者が著作権を放棄したものではなく、権利はいぜん持っているが、ただその行使を控えているだけだとみるのが、作成者の意図に叶った妥当な考え方ということができましょう。

さて、ここまで読んで、「フリーウェアは著作権を放棄したものと考えてよいのでしょうか」の回答になっていると思う方、いますか?と言うか、これを書いた&ウェブでの公開を認めた人ってフリーソフトウェアとシェアウェアのことわかってるんでしょうか?

フリーソフトウェアとシェアウェアはそもそもの成立の経緯が違います。と言うよりも、実は現在知られているシェアウェアの形態は実は間違って広められているものなんです。

−2.ネットワークで配布されるプログラム達−

パソコンを利用したネットワークが始まった頃からいわゆる「フリーソフトウェア」「シェアウェア」が存在していたのは確かです。

注:ネットワークはパソコンに限ったことではないが、今回はパソコンに限定して話を進めても問題ないとしておく
しかし、日本とアメリカではかなり事情が異なっていました(もちろんアメリカ以外も考えるべきですが、今回は外しておきます)。どちらの国でも「コンピュータのプログラムは著作物であり、著作権が発生する」と言う考えは同じですが、「配布」に関してはそれぞれの国の著作権に関する法律が異なるため、大きな違いがありました。

日本 著作権を維持したままの状態で自由に配布する形態をとることが出来る。
アメリカ 著作権を維持したままの状態では「販売・購入」の形態しかとることが出来ない。
自由に配布できるようにするには著作権を放棄する必要がある。

このような違いのために、アメリカではPDS(Public Domain Software)という配布形態が誕生しました。なんのことはない、自由に配布できる代わりに著作権も放棄するというもので、実際、作者の名前がドキュメントなどに書いてなかったり、書いてあっても人の手を渡る途中で消されたり書き換えられたりしていたようです(また、作者もこれに文句が言えなかった)。
さすがにこれではたまらないと言うことで産まれてきたのがシェアウェアです。

形態としては

  • 自由に配布できる
  • 利用に対して料金を徴収する
と言うもので、いわゆる「シェアウェア」ですが、実際にはshare、共有する手段としての苦肉の策だったわけです。
これは僕の勝手な解釈だけど、料金を払うかどうかは実は問題ではなかったのではないかと思う。
つまり、「このソフトはネットワーク上で販売している」という体裁を取るのが目的で料金は二の次だったのではないか?と。
なんというプログラムだったか忘れましたが、とあるシェアウェアの料金はなんと日本円にしておよそ500万円だそうです。
「そんなモン払えるか!」
と言う人もいるでしょうが、払うと300ページにもわたる詳細なマニュアルと高級車が一台付いてくるそうです。
ちなみに、料金を払わなくても機能的な制限などは一切なく、登録番号を入力する画面もありませんし、マニュアルもきちんとしたものが付いているそうです。

しかし、日本では逆に「著作権が原則として放棄できない」という仕組みだったことが幸いして「自由に配布でき、著作権も維持できる」というフリーソフトウェアという形態が誕生したのです。

このように、フリーソフトウェア・シェアウェアは「著作権を維持しつつ」「自由に配布できる」ソフトウェア達ですが、各国の法律の違いによってお金を払うかどうかと言う違いが産まれただけであり、フリーソフトウェアの作者が「これは金になる」と始めたのがシェアウェアというわけではありません。

−3.僕自身の考え方−

では、僕個人がこの解説についてどう思っているかをきちんと書いておきましょう。
まず、AパートとBパートですが、若干言い方がアレですが、とりあえず問題ありません。
で、Cパートですが・・・・僕はこちらで自作のプログラムを公開しています。
これらは全てフリーソフトウェアであり、改変をしない・配布に対して料金を徴収しない限り自由に配布してよいとしています。
もちろんこの理由にはここで述べられているように「ソフトを広く普及・伝播させ」という意図はありますが、実のところ「費用の回収および収益の獲得」は一切考えていません。

まず、費用の回収ですが、僕がこれまでにコンパイラ類にかけてきた金額はおよそ10万ちょっとです。しかし、そこから作りだしたプログラム(数百本)のうち、公開にこぎ着けたものは、こちらで公開しているものがほぼ全てと言う状態で、他のプログラムは全部個人で使ってます。そう、あくまでも自分が使いたいプログラムしか書いていませんから、「費用」という考え方すらありません。

もちろん、コンパイラや解説書などを購入する際に「高いなぁ」と思うことはあります。

そして、収益の獲得ですが・・・・何それ?
イヤ、結構シェアウェアって作るのが面倒くさいんですよ。ユーザ登録の画面を用意して、ユーザーが料金を支払って連絡してきたら、入金を確認して、ユーザ登録用のキーと一緒にユーザ登録した旨を伝え、バージョンアップの際にはいちいち連絡を入れ・・・・

出来るか!

もちろんベクターなんかではそれを代行する「シェアレジ」というシステムもありますが、僕の考えとしては「ユーザ登録用の画面」を用意するのが面倒だし、そこにバグがあったら大変な騒ぎだし、と余計な手間があるのは確かです。
また、ユーザからお金をもらっている以上、それは「商品」であり、不具合があったら直す義務がある、とも考えています。プログラムを作る動機が「自分が欲しいから」だけであり、不具合があっても「直すまで我慢して使おう」という意識ですから、当然そんな義務など鬱陶しい以外の何物でもありません。

「義務」とまで考える必要があるのか?と言う意見もありますが。

また、僕以外の誰かが僕の作ったプログラムを改変して公開する可能性ですが・・・・ゼロではないでしょう(ウィルスをくっつける人もいるかも知れませんし)。しかし、現時点でソースコードを公開しておらず、プログラム自体も無意味にいじってある箇所が多いため、リバースエンジニアリングして・・・・と言う手段もかなりきついはずです。しかもそこまでやっても僕の作ったオリジナルは存在し続けるわけですから、割に合わないんですよね。

さて、Dパートですが・・・・何これ?
「著作権を放棄したものではなく、権利はいぜん持っているが、ただその行使を控えているだけだとみる」
????日本の著作権法では「著作権を放棄する」のが非常に困難です。日本の法律では原則として「著作物として認められている物を作った時点で発生」し、「著作者の死後50年間」有効です。

厳密に言うと少し違うけどね。
そしてその「行使」はただ単に著作物が自分のものであることを主張できるだけ(厳密には他にも色々ありますが)で、著作物の利用のために料金が必要とは書いてないように見えます。これを書いた人、「著作権の行使」=「料金の徴収」と勘違いしているんでしょうか?

と言うことで、てんでバラバラな文章なんですね。

こんな文章を堂々と掲げている「著作権情報センター」っていったい何なんだろう?

−4.僕自身の今後のスタイルについて−

僕が公開しているプログラムは現時点で全てフリーソフトウェアであり、改変しない限り再配布は自由ですし、使用に際しても一切料金は徴収していません。また、配布の際に(実費以外の)料金の徴収をしてもいけないと謳っています。
このスタイルは上にも述べたような「シェアウェアは面倒」という考え方が崩れない限り今後も継続しますし、この考え方自体崩れることもないでしょうから、今後もずーっとフリーソフトウェアのまんまです。


以上。


↑もしもここに何も表示されていなかったら、ブラウザの「戻る」で戻ってください。