唐突な話ですが、MP3って知ってますか?
ご存知無い方のための解説
MP3
MPEG Audio Layer-3
音声データのデジタル圧縮技術の名称。MPEGは動画圧縮技術として知られているが、音声圧縮も扱っており、mp3はMPEG
Audio Layer-3の略称にあたる。
MPEG Audioには3つのレイヤがあり、各レイヤ間の主な違いは、圧縮時の音声品質。上位のレイヤほど、同じ圧縮率での音声品質が高くなる。CDクォリティ(44.1kHz、16bitステレオ)の音声を聴感上の劣化がないように圧縮する場合、Layer-1では約1/4、Layer-2では約1/6のサイズとなるが、Layer-3では約1/10と非常にコンパクトにすることが可能だ。なお、MPEG Audioは、MPEG-1とMPEG-2の双方に存在するが、圧縮方式はどちらも同じである。MPEG-2では、サラウンドや多重音声のサポートや、ネットワーク上でのリアルタイム再生などの狭い帯域幅での使用を踏まえ、低サンプリングレートと低ビットレートへの対応がなされた。
MPEG Audio Layer-1は、Digital Compact Cassette(DCC)のために作られた物であるが、再生品質が高く高圧縮率のLayer-3を利用し、フラッシュメモリ搭載のポータブルの音声再生装置を計画するメーカーもある。 |
え?全然わからないって?
簡単に言えば、コンピュータで音声を記録しておく形式の一種で、そのまま記録しておく場合に比べ、約1/10程度の大きさにまで圧縮できる方式のことです。特にCDからデジタル録音して行うと、雑音も拾わないため、かなり注意して聴かないと違いを聞き分けることは不可能なほどです。
さて、このMP3ですが、各方面からつつかれています。何故かと言うと
CDに入っている曲の音質をほぼそのままに圧縮できるため、
インターネットを介しての配布が非常に多くなってきた
ためです。
特にファイル交換ソフトと呼ばれる、ユーザがインターネットを介して自由にファイルのやりとりの出来る仕組みの中では大ブレイク。発売直後の新曲も自由に手にはいるという非常にすごい状態すら生んでいます。
通常、CDには
個人的に利用するなどの場合を除き、著作権法上、無断複製は禁じられています
と言うことが書いてあったりするんですが、ここで言っている「個人的な利用」ってのは
- テープやMDに録音して車の中や学校・会社の行き帰りなどで聴く
と言うような事をさし、
- 自分で編集した物を販売する
- 料金を取って客を集めて聴く
などは違法となります。
今回問題となっているのはパソコンを使って録音してMP3に変換した物を交換しあう、という形態です。
まず、パソコンで録音し、MP3に変換するまでですが、僕の考えではこの時点では一切法律に触れていないと考えています。ここまでは(最終的にどうするかは別として)、個人で楽しむためにMP3に変換しているだけですから。
しかし、これをインターネットを介して交換しあうと、どうなるでしょうか?
その前に、テープやMDに録音した物を友人・知人にあげるケースを考えてみましょう。これは、
「この曲いいから聴いてみろって」
「こういう曲、好きだったよね」
と言う感じでしょうか?著作権法上、グレーな領域ですが、「個人で楽しむ範囲内」と考えてもあまり差し支えないと考えています。
しかし、これがインターネットとなると話は別です。
友人・知人にあげるのとは違い、対象の規模が全世界の不特定多数。さらにあげる方は誰にあげたかもわからないし、もらう方も誰にもらったかもわかりません。また、あげた後に別の人にあげたら・・・・?そう言うわけで問題となっています。
ま、ここまではいいとして。
これに対抗する手段としてCDからデジタル録音できないようにすると言う手段が開発されました。
例えば、これ。
Macrovisionのテストは,イスラエルのTTR Technologiesという企業から獲得した技術をベースにしている。この技術は,コピーをすべて阻止するのではなく,ある種のデジタル的な“歪み”をファイルに加える。
Macrovisionによると,この技術を組み込んだCDを普通のCDプレーヤーで再生してもほとんど問題はないが,PCのハードディスクにデジタルフォーマットで楽曲をコピーすると,楽曲の再生時に耳に付く「カチカチという音や破裂音」が聞こえるという。 |
市販されている通常のCDプレーヤは、CDの表面に傷があったりした場合のことを考えてエラーを補正する機能を持っています。そのために意図的に入れられたノイズは再生されない、と言うわけなんですが、パソコンでデジタル録音した場合、この音が残ってしまう、と言うことだそうで・・・
どうでもいい話だけど、音楽CDにはこうしたエラー補正のための情報が必ず記録されている。逆にこの情報を全て捨てた場合、CDに入る曲は倍以上になるとも言われている。如何にデリケートな技術かおわかりいただけるだろうか?
しかし、疑問も残ります。
著作権の中には「同一性保持権」と言うものがあって、
著作権法第二十条(同一性保持権)
著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。 |
これに引っかからないのかねぇ?
他には、こんな例も。
今年に入ってから独BMGが、イスラエルのセキュリティー企業ミッドバー(Midbar)の技術を利用した著作権保護機能つきCDを開発しようとしたが、失敗に終わっている。13万枚の著作権保護機能つきCDを出荷した後で、BMGは1月に計画を放棄した。自分のプレイヤーではディスクが再生できないという苦情が顧客から殺到したためだ。 |
要するに古いプレーヤだと再生できなかったわけなんですが、これは本末転倒も甚だしいところでしょう。
それと一つ、大きな問題が残っています。
僕は会社の行き帰りにMP3対応のCDプレーヤで自分の好きな曲を聴いている。車の中でもMP3対応のカーステレオで好きな曲を聴いている。今現在僕が持っているMP3形式の曲はおよそ300。すべて自分で買ったCDから作った物で、これらの中で手放したCDは一枚もない。つまり、著作権法上、全く問題のない範囲で楽しんでいる、善良な消費者である。
実は、1年ほど前まではMDだったが、録音もできる携帯型MDプレーヤをステレオに繋いで録音していたのでかなり面倒だった。曲数もそんなに入らなかったし。今はほぼ全ての曲を1枚のCDに入れているのでご機嫌だ。
ついでに言うなら家にあるステレオは1990年製。下手をすると聴くことすらままならないことにもなりかねないのだ。そうなったらおそらく、CDを買わなくなるだろう。たとえ僕が好きなアーティストの物であっても。
コピー防止機能、大いに結構。しかし、きちんと購入した消費者にとって不利益にしかならないのであれば、そんな物はいらない。
以上。 |