システムが動き出す

設計

異動したときはまだ設計の段階であった。と言っても細かい処理の仕様などを作る段階だったので設計の作業としてはかなり片づいていることになる・・・・はずだった。
実はこのとき、このシステムが一体何をするものなのかは全く知らなかった。途中参加だから当然と言えば当然であるが。誰も教えてくれないのは問題だと思うが。

そこまではよかった(よくないが)。問題はそこからである。
このシステムには顧客のマスタがある。このシステムにおいて一番基本となるマスタである。
このマスタにどんなデータを入れておくか、はまだ細かいところまでは決まっておらず、だいたいこんなデータを持たせておく、と言う形で設計は進んでいた。

注:逆に言えば設計の課程で必要になったデータを追加していくという作業が行われていた。但し、順序としては変である
多少順序がずれても仕方ない部分はあった。開発の途中で
「やっぱりこうしたい」
「こういう処理が欲しい」
と言うのがポンポン出てきたのだから。
注:本来こうした要求条件の洗い出しは設計の最初の方で行っておくべきである。だが、客先の経営陣からの要求や法改正への対応などでこんな感じになってしまった。

しかし、ここでこの開発の中心となるKの登場となる。
Kについての職場での(ヒラの)評価は
「変」
の一言であった。

相手の知識・技術レベルを完全に無視しゴーイング・マイ・ウェイな判断に基づき話を進めるのだから、新人から先輩社員にまでまんべんなく疎まれていた(こういう人も珍しい)。

何しろ入社3ヶ月の時に
「こんなのもわからないのか!」
とさわったこともない機械の
操作について怒られたくらいだ
理不尽という言葉はこういうときに使うんだろうな、と思ったものである。

それはさておき、そのマスタのレイアウト(どういうデータを持たせるか)はまだ半分程度しかできていない。
それを決定する作業が開始されたのだが・・・・巻き込まれた。システムについて何も知らない人間が、だ。

「この項目、必要だと思うか?」
答え:わかりません

「わかれよ」
答え:無茶言うな

「レコード長、すぐに計算して」
答え:5分待て

「はやくして」
答え:だから待ってくれって

「これ、清書して印刷して。すぐにね」
答え:プリンタが冷えているのでウォームアップを待ってくれ

「ここ、漢字が間違ってるよ。すぐに直して印刷して」
答え:どうせすぐに他の部分直すんでしょ、そのときにしましょ(実際直した)。だいたいこれで7回目か8回目の印刷だし

「気になるから直せ、俺、こういうの気になっちゃってしょうがないんだよ」
答え:紙の無駄

夜中の2時にする仕事ではない

さらに、翌日(と言うかその日)のうちに
「やっぱり昨日決めたここ、こういうふうにしたから。直してすぐに印刷して」
とくるのだ。
直すというか・・・・元に戻していた

そして究極が
「うーん、やっぱり基本設計もっとちゃんとやっておけばよかった
自爆である。



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