2007年7月25日
▼このサイトのタイトルが「パワーデザイナーズ…」などと大げさなのは、1996年に僕と、このKENZI 内藤と、あと数名の駆け出しビルダー仲間の作品紹介の場として始めたという経緯を、そのまま引きずっているからなのだが、それぞれが独り立ちしたり、撤退しても尚、僕はこの空回り気味のタイトルに愛着があって、この先もしばらく変えるつもりはないのだ。

僕はいろんな釣りをするし、どの釣りも大好きだけど、ビルダー同士のKENZI 内藤とボートを浮かべるのは、釣りという行為を超越した特別な意味を持った、そして僕らにとっては絶対に必要な大切な時間である。

現像が出来ました
CONTAX RX2 Planar T*50mm/1.4 開放 ND使用 AE -0.3EV RVP


2007年6月30日
▼ 「おー! お前はオオサンショウウオの三太郎じゃないか!」
「大きぃなったのー!」

数年ぶりの再会に、二人は手を取り合い、抱擁を交わすのであった。
思えば、不細工なオタマジャクシと学校の水槽でバカにされていたお前を、大山のイワナ釣り場に放してやってから、もう何年になるだろう…

「元気にしとったか?」
三太郎:潤んだ瞳…

「そうかそうか、物騒な世の中やのに無事でなによりや」
「そういえば…」

お前に惚れていたオタマのたま子が(今はケロケロやけろ)、いまだに身も固めずにお前を待っていると伝えると、三太郎は切なそうにうつむくのだった。

「そうか、それなら俺が、三太郎は所帯を持って、嫁さんのおなかに子供も宿って、今は幸せに暮らしていると、たま子にそう伝えてやろう」

三太郎は小さな目を更に小さく細めて、大きく何度もうなずくのであった。
別れ際に僕は小さなヤマメを一匹釣って、三太郎に持たせてやって、もしかしたらもう会えないかもしれないと知りつつ、流れに乗せてやったのだ。
小さな泡を幾つか残して三太郎は、下流へと下って、やがて視界から消えて行った。
CONTAX TVS DIGITAL photo by brother K

▼ 「おい!カワセミのせみの助、お前最近評判悪いぞ」
「こないだ俺がオイカワカラー塗った次の日、これ見よがしに窓際にほんまもんのオイカワ置いたんお前やろ」
せみの助は小さく小首をかしげて、「さぁ〜」みたいなそぶり…

「かんじわるぅ〜!」
「お前、三好さんちの犬にう○こ爆弾集中投下したり、山田さんちのネオンテトラむさぼり食ったりしたそうやの、ようそんなことするわ、アホちゃうか?」

過去にもこいつは、青い羽根の色が薄くなるからと、和田さんちのブルーベリーやら隆君のファンタグレープやらまで食い散らかした前科持ちで、だけど一度だけ、木村さんの奥さんの濃いブルーのサファイアの指輪がくちばしにはまってしまい、木村さんのご主人に見つかるまでの2日間、飲まず食わずで死にかけた事があり、しばらくはおとなしくしていたものの、近頃はすっかり悪童ぶりを取り戻したようで、近所中、せみの助の他愛のないいたずらの被害者続出なのである。

「これやからチヤホヤ育った奴はいかんなぁー」
と僕がうそぶくと、そんな狭量な言葉をあざ笑うように、せみの助はパタパタと僕を見おろしながら舞い上がり、やがてくちばしを斜め上方に向けると、あっと言う間に空高く飛んで行ってしまった。
僕は少し悔しかったが、見上げた空は、せみの助の羽根と同じくらい青くて、自分にも青い羽根が、無性に欲しくなったのだった。

CONTAX T3 Sonnar T*35mm F2.8 Kodak EB

▼ 最後の田植えの日の朝、今日も無事に過ごせますようにと、珍しく仏壇に手を合わせてから田植えに取りかかり、最初の一筋を植えた後Uターンして、ほんの数メートル植えたところで、ガガガガッと田植機後方から異音がして止まり、見ると苗を押さえるシャフトがねじ曲がっていて、これ以上植えられなくなってしまっていた。
「なんでこうなるかなぁー…」

すぐさま農機具屋に電話すると、心配要らんよと、最新式のプロトタイプの田植機を乗せたトラックでやってきた。
「これ、まだセッティングの途中で、性能試験もせないかんから、僕が植えますわ」
と、あっと言う間に残り3枚の水田は、僕が旧式の田植機で植えるより遙かに高速且つ整然と、田植えが終了してしまったのだ。

丁寧に謝辞を述べ、もらいものの缶ビールをひとケース受け取ってもらってから、修理見積もりなどを聞くと、基本整備料の中で修理できるくらい簡単に直りますよとのこと。

こわれた時は、ご先祖に悪態の一つもつきたい気分だったが、ひょっとしたらご先祖様が田植機を壊して、僕と母に楽をさせたのだろうか?と、今はちょっとそんな風に思っているのだ。
CONTAX T3 Kodak EB AE -0.3EV

▼ コンパクトデジカメは構造上、背景をぼかす事がほとんどできない。
それはそういう仕様になっているからどうしようもないことなのだ。

カールツァイスの力とは、まるでクロード・モネの絵のような、なめらかで美しいぼけと発色、それにピントの合った部分のシャープさとのコントラストにある。

それがどうしたとの異論もあろうと思うが、僕はただ単純に、CONTAXのファインダーに浮かぶ光景に感動し、その瞬間にわずかに調整を加えながらシャッターを切っている。
ただそれだけなのだ。
CONTAX RX2 S-planar T*60mm/2.8 RVP 開放 スポット測光

▼ 鼻がかいーの、ゴシゴシゴシ…

初夏は抜け毛の季節
太郎の屋根に毛ふり積む
次郎の屋根に毛ふり積む

家の中も外も、服にも車にも仕事中のルアーにも、お前の毛が付いとるがな…
掃除機しょっちゅう掛けないかんがな
勘弁してくれ

あ、気付けば自分の毛も抜けとるなぁ
やばいやばい…

ほなけど結局な、俺はお前がかわいいからな
少々のことは辛抱してしまうんやな
しゃーないな
CONTAX RX2 Planar T*50mm/1.4 RVP 開放 AE +0.3

▼ 外は雨が降っている。
コーヒーが運ばれるのを待つ間も、僕は美しい彼女を見つめている。

「からふね屋コーヒー店」
僕が京都にいた頃は、スタバでもドトールでもなく、からふね屋がいたるところにあって、下宿の近くの下鴨店で僕達はいつもいつも長居をして、店員さんを困らせたのだった。
(最長8時間ですよ…バカですねー)

同じ四国は大洲出身のマーちゃん(男子)とも、朝までぐだぐだしゃべっては、モーニングコーヒー飲みに行ったのだ
6月の雨の日にはからふね屋で、僕はいつも大切な誰かとコーヒーを飲んでいて、水のグラスは今日と同じに汗をかいて、ベーコンエッグとトーストは、貧しい学生生活のささやかな贅沢でもあったのだ。

自分自身を制御する事すらままならぬ幼い恋心と、薄絹一枚のヴェールほどの遮蔽物さえ無い確固たる友情と、どこまでもどこまでも見通せる明るい未来がそこにはあって、僕は不安を不安とも感じずに、ただただ裏付けの無い表面だけの幸福を幸せと信じ込もうとしていたように思う。

だけどそれで良かったのだ。
あの日を思い出すと僕は今でも幸せで、自分達の幼さまでもが愛おしく感じられる。
そういうわけで僕は、梅雨が大好きなのだ。
CONTAX T3 Kodak EB AE +0.7EV

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