| 2007年1月30日 |
|
|
|
|
▼先日、知り合いのレガシーワゴンを運転する機会があった。
僕の走行12万kmの少々ガタついてる外国製ワゴンより、「あぁ良いなぁ」と、こころ動かされる箇所を何一つ見いだせずに少し失望した。
かわりにこれといった欠点があるわけでもないが、その差異の底辺には、機械的な優劣と言うより、車を取り巻く文化の違いが、埋めようのない溝となって横たわっていることを痛感する。
この小さな小さなイタリアの大衆車FIAT500(チンクエチェント)でさえ、いたるところに天才のひらめきと、職人のクラフトマンシップが散見され、僕の心はどうしようもなく揺さぶられるのだった。 |
|
CONTAX T2 Sonnar T* 38/2.8 Kodak E100VS
|
|
|
|
|
▼ほんとうにあっと言う間の20年だったなぁ。
ありふれた言い方だけど、大げさじゃなく、まるで昨日のことのように思い出されるよ。
ちいさなお前を授かった幼く未熟な両親は、オロオロしつつもお前から勇気をもらい、その時々には多少の苦労もあったかも知れないが、そんなこと今はまったく思い出せない。
おかげさまで今日までなんとかやってこれたってわけさ。
夜泣きもせず、病気もせず、ただの一度の兄弟喧嘩もせず、無駄使いも贅沢も望まず、勉強はそこそこ出来、見栄は張らず、嘘はつかない。
まったく親の方が恥ずかしくなるくらい出来の良い息子だ。
今日は成人式だ。
もうこんな機会もないだろうから今のうちに言っておく。
親父はお前に感謝している。
うちの子に生まれてくれてありがとう。
これから何度傷ついてもその優しさを失わず、たくましく生きろ。
冬休みが終わり、バスターミナルで京都へ帰る息子を見送ると、少し湿っぽくなったりして、そんな時は自分の老いを感じたりもするが、翻って車に乗り込んでステアリングを握り、エンジンに火を入れてシュワーンと一発ブリッピングをかますと、また新たな闘志が湧いてくるのだ。
お父もまだまだがんばるさ。 |
|
CONTAX T3 Sonnar T* 35/2.8 RDP3
|
|
|
|
|
|
▼通い慣れた二階のフロアはがらんどうになり、部屋の真ん中に主を失った椅子がぽつりと置かれている。
急に取り壊しが決まって、僕達も少し手伝って店の整理をした。
懐かしい写真や修理を頼んで置きっぱなしになっていた竿が出てきたり、作りかけのミノーの木片や使い込まれた古い工具達を見ていると、そこに功さんがいないことが未だに信じられないのだ。
思えばこの竿菊釣具店の2階の工房には、松本さんや僕らの夢がたくさんたくさん詰まっていて、この店が無くなると同時に、竿菊釣具店と共にあった僕らのあの時代の記憶というフォルダーが、すっぽりとデリートされてしまうような、淋しいの一言ではとても片づけられない気持ちになる。
しかし悔やんでみてもせんなきことだ。
僕らはこれからも生きねばならない。
自分の愚かさをきちんとわきまえて、だから他人にも優しくて、ほんとうのプライドの意味をわかっているから見栄も張らない。
僕には松本さんはそんな風な人間に映っていたんだ。
少し誉めすぎ?あ、やっぱり‥‥
だけどそう心がけて生きようじゃないか、功さんの友人として。
それから、竿菊釣具店のホットショットオークションにたくさんの方に参加していただき、ご家族共々心より御礼申し上げます。
ご厚志ありがとうございます。 |
|
Canon EOS100 28-80mm RDP3
|
|
|
|
|
|
▼先日の夜、家から5mほど離れた狭い工房へ行こうと玄関を開けると、庭のはずれの暗闇の中に生き物の気配がする。
うちはネコを飼っているし、このあたりには野良犬もうろついているから別に珍しくもないのだけど、その闇の中の息づかいはかなり大型の動物のようだ。
靴箱の上のマグライトをとってそちらへ向けると、明かりの中に浮かんだのは大きなイノシシだった。
その周りにはウリ坊が4頭いて、光に驚くでもなく僕に一瞥をくれて向こう側の山へ続く田んぼへ遠ざかっていった。
右手の茂みの中では、まだなんかゴソゴソしていて、近寄って照らしてみると中型のイノシシが2頭、こちらへ寄ってきた。
すぐ足元まできても「ブッブッ、ゴッゴッ」と一心に地面を嗅いでいる。
もう一歩近づいて撫でてみようかとも思ったが、角材で叩いてもびくともしない出荷時のブタの頑丈さを知っているので、無茶はしなかった。
10分ほど僕の周りをうろついた後、2頭も山へ帰って行った。
長くここに住んでいるが、こんなことは初めてで、今年の山はやはりいつもとは違っているのだろう
久しぶりに人ごみに繰り出して街を歩いてみると、再開発された商店街が賑わっていて、だけどそれはどこか絵空事の様でもあり、瀟洒な造りのCafeでくつろいでいるオメカシした人達よりも、なぜだか僕には、人間の存在さえも気に掛けず、ブッブッと無心に地面を這いつくばって山へ消えていった夕べのイノシシ達の方が、同じ命あるものとして、遙かにリアリティーのある身近な存在に感じられたのだった。 |
|
CONTAX T3 Sonnar T* 35/2.8 RDP3
|
|
|
|
|
|
▼ホームセンターへ買い出しに行くと、まだ開店時間前で、しかたないので僕は、若い店員達が頑張って店先に並べている花を見ていた。
たとえばパンジーの仲間だけとってみても、その種類の多さに驚いてしまう。
植物も場合によっては外来種が生態系に多大な影響を及ぼす例が少なくないが、人間にとって有益な側面もご覧のように多々あるわけで、それは動物だってなんら違いはない。
ただそれらによって、在来種が絶滅するとなれば話は別だが、一度導入してしまえば、あとは人間が責任を持ってコントロールするしか方法は無い。
上手に共存できる事を願うばかりである。 |
|
CONTAX T2 Sonnar T* 38/2.8 Kodak E100VS
|
|
|
|
|
▼「おばさん、もらいに来たで〜」
このラグビーボールの様な物体は、万次郎かぼちゃというのだそうである。
白坂のおっさんとおばさんが苗を5本植えたところ、300個も収穫出来たのだそうだ。
雑種で生命力の強い、厚い果肉と強い甘みを持ったおいしい品種である。
大きなものなら3kg以上あるのを、老夫婦二人で収穫したのだそうだ。
「よーけあって困っりょんや、てっちゃん取りに来ていたぁ」と言うので、軽トラでもらいに行ったのだ。
納屋いっぱいに積み上げられたカボチャ。
庭のござの上に広げた切り干し大根。
お菓子の空き箱の中で艶々している黒豆。
一輪車山盛りの収穫したての大きな葉のマンバ。
そこらへん中に吊して干してある漬け物用大根。
どれもこれも皆、この老夫婦が丹誠こめて作ったものばかりである
「ほんならもろて帰るわな、ありがとで」
「ところでおっさんは?」
「あー、おっさんかぁ?おっさんシイタケ採りに山行っとる」
二人とも、もうすぐ80歳である。
庭先の石の福の神なんかより、おばさん達の笑顔の方がよっぽど強力な御利益があるよ。 |
|
CONTAX T2 Sonnar T* 38/2.8 Kodak E100VS
|
|
|
|
|
|
▼衣服は実際身につけてみないと、本当の値打ちはわからない。
僕の友人の手袋職人が作るグローブは魔法のように手に馴染む。
パーツを機械的に組み合わせただけの量産品と、ミシンの針の一刺しまで気持ちのこもったものとは、外見以上の差があるものだ。
手の甲側と手のひら側と、長さの違う裁断された皮を、クルクルーっと手品のように、最後はピッタリと同じところで縫い終わる。
この作業をここまで高精度で出来る職人は、もう日本に幾人もいないそうである。
がんばれ made in Japan. |
|
OLYMPUS OM2 ZUIKO 50mm/3.5 E100VS
|
|
|