2004年4月1日から6月31日までのTU's

2004年6月25日
▼ トップウォータージャンキー待望の新作
『MILLHEAD TURKEY』
際限なく生まれては消えてゆくこの分野にあって、内藤賢二は2年という歳月をプラグ開発に充てる。

僕はこんな風に想像してる。
釣りをしていると偶然感動的なヒットシーンに巡り逢う。その感動を再現したくてあーでもないと頭を捻る。
やがてイメージが固まり、いくつかのプロトタイプが生まれ、微妙なニュアンスを求めてトライを繰り返す。

大切に紡がれた時間の長さが、その圧倒的クオリティーが、なによりこのプラグの意味を語っている。

CONTAX RX2 Vario Sonnar 35-135mm RVP100 f8
▼ このシャイな男の魂がTWJをTWJたらしめているのだ。
彼の作品の完成度の高さには、もう何の説明も必要としないだろう。
作業に慣れると少しは手間がかからなくなるものだが、また新たに気づくネガティブを潰すことに更なる手間をかける…
結局の所、作業効率はいつまでたっても上がらない。

このままだと僕らはどうなってしまうのだろう?
ビルダーを続けていけるのだろうか?
そんな不安を共有しながら、でもどこかで自分達のスタイルを認めあっている。
頼もしき「盟友」よ、ぼちぼちやろうぜ。

OLYMPUS OM2n 50mm f1.8 PORTRA BW f4

2004年6月6日
▼ きれいな夕日が見たいと、近頃ずっと思っていた。
理由はわからないが、燃え立つような濃いオレンジ色を一瞬だけ残して沈んで行く落日をただ眺めていたいと、ほんとにずっとそう思っていた。

夕方はたいてい、仕事の後で気が抜けてしまったり、または晩飯前の一仕事に追われて、気が付くと太陽は地平線の下に沈み、空はすでに赤みを失っているのだ。

今日の夕刻は用事で出かけなければならない。
そうだ、カメラを提げてバイクで出かけよう、そうすれば用事を済ませた後、うまく夕日を拝めるかも知れない。

お気に入りのビューポイントまでバイクを飛ばしたが、思惑通りにはいかなかった。雲が太陽を遮っている。

だけどほんの一瞬、雲の切れ間から少しだけ顔を覗かせた夕日は、ここまで出かけて来て辛抱強く待った僕に微笑むかのように、あたたかな色で空を染め上げてくれた。

CONTAX RX2 Planar 85mm f5.6 RVP100
▼ ほんとは今日はカツオとシイラを釣りに、いつもの源洋丸で沖へ出たのだった。

最初の1時間は沿岸部でヒラスズキを狙ったが、そんなに悪くないコンディションにもかかわらず、ただの一度の当たりすらも無かった。

次の2時間はカツオの群を探しながら沖を目指して僕らは彷徨った。
沖は凪いでいて、雲はあるが、初夏の太陽がそのすぐ後ろにスタンバっている感じである。
僕は船長と話しながら時折、海の写真を撮った。

それから2時間、船上は夏の太陽が照りつける戦場と化した。
着水と同時か、もしかしたらそれよりも早く、カツオが次々とヒットして、うまく向こうを向かせずに強引に寄せられれば良し、さもなくば奴らの途方もないロケットダッシュにリールもロッドも腕も悲鳴を上げ続けなければならない。おまけに太陽だ…
最初は楽しんでもいられるが、それがだんだんと過酷になってくる。

かくして写真は海を写したもののみと相なるわけである。

CONTAX RX2 35-135mm RVP100 f4
▼ 日本一のため池「満濃池」は、田植えシーズンをひかえて満々と水をたたえていた。
実はこの堤の東詰めに、変わったうどんを食べさせる店があるというので、幼なじみと二人、車を飛ばしてきたのだが、事前に仕入れた情報による定休日ではないのに、今日は臨時休業のようである。

「小学校の遠足で来たのぉ」
『そやのぉ』
と言い合っていると、一台車が現れて、中から現れた中年の男には明らかに見覚えがある。
それもそのはずだ、たった一クラスしか無かった僕らの小学校の40人のクラスメートのその一人なのだから!

『松原やん!お前なんしょん?!』
「それはこっちのせりふじゃ!てっちゃんたちこそ、こんなとこで…」

人生には思いもよらぬことが起こるものだ。
その日店は閉まっていたが、一日中なんだか得をした気分だった。

CONTAX RX2 35-135mm RVP100 f8
▼ その満濃池で松原と別れた後、反対の西詰めまで堤防を辿ってゆくと、ヘラ釣り師が一人釣り座を構えていた。

しばらく眺めていたが、釣り師は淡々とエサを打ち返すだけで、ヘラブナが釣れた気配は無かった。

手前の草むらでは、白い子猫が何かを狙っている。
右側の大きな木の梢は風に揺すられて、葉が裏返ったり元に戻ったりを繰り返している。
ここだけの時計が、グリニッジとは別に時を刻んでいて、見つめていると自分まで引き込まれてしまいそうである。

自分は今どうしたいのだろう?
風がヒューと耳元で鳴った。

一つ息をして意を決めた僕はきびすを返し、たいして強い意志が働いたわけではないが、とりあえず現実の中に戻ることにした。
後ろには幼なじみのいつもの気取らない横顔があった。

CONTAX RX2 35-135mm RVP100 f4
▼ 「紫陽花の花はねぇ、花に見えるけどほんとは花じゃないのよ、知らなかったでしょう?」

校庭の隅っこにひとかたまり咲いている紫陽花を、転校生の僕が一人眺めていると、その先生は僕に話しかけてくれた。

大津市立石山小学校へ1年生に上がると同時に四国から転校して行った僕は、周りの大人達から見るとさぞ淋しそうに見えたのだろう。
だが周囲の心配りや、良い友達にも恵まれ、
ホタルを捕り、クワガタを捕まえ、アカマツを釣ったあの夏は、記憶のなかで今もひときわ輝いているのだ。

CONTAX RX2 Vario Sonnar 35-135mm RVP100 f8
▼ 求めていた落日の光景は、つまりはこれだったのかも知れない。

三郎池に映る夕焼け。
首をひねりさえすればいつでも見ることができるこの光景を、あまりに近すぎるためにそれをどこか遠いところに求めてしまうような、夕焼けを求め彷徨う時、僕はそんな気持ちなのだろうか?

野良仕事を終え、夕食の前のわずかな時間外に出て、久しぶりにゆっくりと見た沈み行く太陽は息をのむほど美しかった。

初夏の夕焼けは色が浅い。
秋の燃えるような赤に比べると黄色やオレンジが強くて、いちばん外側の宇宙との境目は青い縁取りになっている。
その青が明日への希望に見えるのは、きっと僕だけではないだろう。

いちばん身近な人に「きれいだよ」と面と向かって言いにくいように、この夕焼けが一番だと、今まで僕は言えなかったのだ。

もう僕は臆さず言えると思います。

CONTAX RX2 35-135mm RVP100 f4

2004年5月18日
 「自分の欲しいバルサミノー」
結局の所、信ずべき指標は自分の中にしかあり得ないのだと、最近は考えるようになりました。

自分が明日、渓流へ釣りに行くとしたらどんなミノーが欲しいだろう?それを形にしたのが今年のモデルです。(画像クリックでラージファイル)

僕にとって釣果はすでに重要なファクターではなくなりました。それよりも自分の釣りを完結させるための性能こそが最重要課題なのです。
手の中で、そしてあの川で、自己満足に浸るための最新のレイチューンが出来ました。

CONTAX RX2 Vario Sonnar 35-135mm RVP100 f8
 もうかなり以前から、出すぞ出すぞと前宣伝ばかりだった渓流用リップレスミノーが出来ました。ルアーキャストという最新の発泡系素材を使うことで、手削りでは量産不可能な形を具現化する事ができました。

新しい素材にチャレンジすると付き物の技術的マイナートラブルを克服し、ようやくお届け出来るクオリティーに仕上がりました。(画像クリック)

シンキングミノー一辺倒のスローな釣りへのアンチテーゼ、僕のアグレッシブミノーイングへの偏愛がこのプラグを生みました。

CONTAX RX2 Vario Sonnar 35-135mm RVP100 f8

2004年5月4日
▼うどん屋巡り・・・
幼なじみがSOHO事務所を開設したことをきっかけに始めた、この週一の楽しみも、優に150店舗を超えるに至り、ここのところ少々失速気味ではある。
今日はおいしい店にあたり、満足して帰路に就いた。
「おい、空港にポピーが咲いとるらしいぞ」
『ふ〜ん、行ってみるか?』

白、黄、橙、朱色、今がまさに盛りだった。
『露出補正はプラ1かぁ?』
「そんなもんじゃろ」
彼も心のシャッターを押したのが僕にはわかった。

CONTAX RX2 Vario Sonnar 35-135mm RVP100 f4
対照的なクールで美しい色合いを見せるこのキリシマツツジは、小学校6年の時の担任だった恩師が、僕の長男の誕生祝いに、先生の庭から一株譲っていただいたものである。

先生はどうしているだろう?
僕は先生のおかげで理科が大好きになった。
いっしょにキノコ獲りに行った。
学校で禁止されていた野池遊びも「泳いであのハスの花取って来い」と自由にさせてくれた。

あぁ、先生はどうしているだろう・・・

CONTAX RX2 Planar 85mm f4 RVP100
連休の前、急に川へ釣りに行きたくなり、万障繰り合わせて午後から嫁と高速に飛び乗った。
五月晴れの午後、なぜだか飛ばす気にはならず、オートクルーズを100kmにセットして左車線をコンスタントに走った。
僕はこの季節が大好きだから、ドライビングに過度に意識を割かれることがもったいないと感じるのだ。

 目的地の伊野インターまでは2時間弱なので、ノンストップでも全く問題ないのだが、山岳部に入り、山の稜線に蒼い空と白い雲が見え隠れし始めると、僕はサービスエリアに車を入れずにはいられなかった。

 いつも単純にアンシャープ15%でスキャンしたのみの、明度も彩度もほとんど無加工の写真達が、その時の僕の気持ちを良く表してくれていると思う。

 僕は近頃、何もかもがもったいなく感じられるのだ。
その風景を見ずに、その話を聞かずに、その人と心かわすことなく、ただ通り過ぎることが、なぜか今の僕には出来ないのだ。
「ここで飲むコーヒーはおいしいね」と嫁が言った。

Vario Sonnar 35-135mm RVP100 f8
四国には、吉野川、那賀川、四万十川と、数本の一級河川があるが、僕はその中でも仁淀川を最も愛している。
それも、この河口域のおだやかな蛇行部分が特にお気に入りである。

上流部にいくつもダムを抱えているというのに、不思議と水は透明で、サツキマス(アマゴ)、ウグイ、ニゴイ、スズキ、メッキ、アカメ、ヒラメと淡水海水を行き来する魚達がたくさん釣れることでも有名なのだ。

でも今日のほんとの目的は、嫁とここで釣りをしたという記憶をこしらえに来たのだ。

CONTAX RX2 Vario Sonnar 35-135mm RVP100 f8
河口まで保たれた透明度、圧倒的に少ない人口密度が、僕をこの上なく贅沢な気持ちにさせてくれるのである。

 今日は風が強い。風はそんなに冷たくはないが、体感温度が低下しているのでマウンテンパーカーを着込む。
フォローの風で運ばれたストリームアーマーの飛距離は絶大で、
嫁もいつもの2倍くらいの飛距離に「キャー気持ちええな〜」を連発する。

 それは20cm足らずのウグイだったが、初めて釣った嫁はいつものようにとても喜び、その顔を見て僕も幸せな気持ちになった。

 そして、何年ぶりだろう、僕の竿に本命たるサツキマスがヒットした。
轟々とうなる流心をミノーを横切らせた瞬間だった。
「ガツン!」と強烈な衝撃を伴って、ウグイやニゴイとは明らかに違うパワフルな引きを見せる。
砲弾のような銀色の魚体を、あと2mまで寄せたとき、奴は流心へ逃げ込んで流圧を味方に付け、巧みに針を逃れて行った。

僕は昔のように悔しがりはせず、幸せな気分で奴にサンキューと言った。

Vario Sonnar 35-135mm RVP100 f11
なぁ、りゅう太?おまえ年長さんになったんか?』
「・・・てっちゃん、僕、学校や」
『ふぅ〜ん、学校かぁ、ほんで年中さんか?』
「あんな、学校や」
『そっかぁ〜、学校かぁ〜、ほんならジュース飲みぃ〜』

 人見知りしないのは、従姉妹の香織のしつけのせいだろう。
この古い旧家で、僕たちは一時期いっしょに暮らした。
従姉妹と言っても、僕は兄妹のように思っているから、野菜でも採りにいつでも帰っておいで。
『わかったか?りゅう太、また来いよ』
「うん、てっちゃんバイバ〜イ」

 ツァイスのプラナー85mmは、マニュアルフォーカスのくせにピントが合わせにくい致命的な欠点を持っている。
しかし、カメラにマウントしたときの風格とバランスは、あまたのレンズの中でも最も美しいと思っている。
そして、ピントが来た時の柔らかで階調豊かな美しい描写は絶品である。
「きれいな嘘をつくレンズ」
僕はプラナー85mmを愛している。

CONTAX RX2 Planar 85mm f2 RVP100

2004年4月18日
ついこないだ分け入ったあの山は、わずかの間に目に痛いほどの新緑に萌え、風下の我が家に湿った甘い風を運んで来るようになった。
なにもかもがじっと静まりかえっていた山麓も、風を受けて全体が揺れるようにざわざわと動いている。

僕は季節のうちで春が一番好きなのだ。それも晩春(て言う?)から初夏にさしかかる頃が一番いい。

生命感にあふれ、希望に満ちた季節であると同時に、個人的な忘れがたい情熱的季節なのである。

以前にもどこかで書いた記憶があるが、春、初夏という言葉は、僕にとっては単に季節を表す言葉ではなく、焦がれるような恋をしていたり、信じがたい釣果に恵まれ一人渓流で快哉を叫んだり、いつしかそういう心の状態を表す言葉になったのだ。

あ〜また春が来た、う・れ・し・い

OLYMPUS OM2 APO LANTHER 90mm f3.5
RVP100 f8
うちの庭は今こんな状態です。
地面に砂利がひいてあるんやけど、砂利の薄い周辺部は草が生え放題。

いつのまにかタンポポがたくさん根を下ろして、でもそれがあんまりきれいなもので、せめて花が終わるまでこのままにしておくつもりです。

そう言や、たけのこ掘りも大変です。もうこの時期、成長が早くて、毎日一輪車山盛り一杯掘ると、仕事の前にすでに筋肉痛です。

あ〜ほんまに春やわ。

CANON EOS100 17-35mm f2.8 RVP100 17mm 開放
嫁を連れて、淡路島で開催された釣友達とのメバル釣り大会に出かけた。

ほんとうは一人で行って、早い時間から下見などして、思う存分釣るなんて事を考えたりもしていた。

だけどどう?彼女の笑顔。
これが彼女の人生初メバルなのだ。
デカイのたくさん釣るのもいいけど、最近僕はこういう方がもうちょっといいね。
ほんとに一緒に連れて行って良かったと思う。

Fuji FinePix4700z
そしたらその帰り、鳴門でちょいと竿を出したところが、釣れた釣れた!
めったに釣れないような大物が一投目からガンガン!
おまけにミノーでもボコボコ!
イヤ〜心がけというのは、やはり大切なのだろうか?

あ、
メバルの口元に写ってるは・・・そう、渓流用リップレスミノー、「ストリームアーマー50」なのだ。
これは最近作った中で一番デザインが好き。
もうじき発売です。
Fuji FinePix4700z
今、写真の真ん中にぽつんと見えている釣り人のいる場所で、それは起こったのだ。
6、7年前の事だ、その巨大なサツキマスは僕の眼前でがっちりとベリーフックに噛みついたのだ。
竿はその日なぜかコータック コマスピン70L、ラインは6ポンド直結。

走る走る!竿が柔らかくて寄せるのに必死だ。
ようやく足元まで寄せて、左手でランディングネットを差し出した瞬間、どういうわけかスプリットリングごと奴は逃げたのだ。
「あ゛〜っ!くっそぉ〜!!」

と、僕はめずらしく叫んだのでした。

CANON EOS100 28-80mm f3.5 RVP100 28mm AE

TU'S Talk 2004.1/1〜2004.3/31

TU'S Talk 〜2003.12/31

home