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凪の千羽海崖
| 或いは魚の重みを一度も感じることなく、すごすごと帰らざるを得ない、そんな可能性すら感じさせたほど、この日、白みつつある早暁の海は凪いでいた。 わずかに日が昇れば南風が吹くという頼りない期待のみで出航を決めた僕らは、松本船長も含め、半ば諦めモードで港を後にする。 しかしこの海へ漕ぎ出せば、その風景、潮の香り、何より透明なこの海そのものの美しさに心惹かれて、魚を釣る楽しみと同じくらい僕の心は満たされてゆくので、魚を釣らせてやろうと心配る船長が思うより僕は落ち込んではいなかった。 『千羽海崖』と地図には記されている。 どうやら僕はこの海に好かれているのか、この日和佐に於けるルアー遊魚船でのヒラスズキ釣りのレコードホルダーであるらしい。一日のトータルランディング数でも、個人累積ランディング数でもぶっちぎりらしい。 「上原さんなら凪でも1匹は釣るやろ」と出航前、船長が慰めてくれていたが、今日の相棒(といってもしょっちゅう一緒だが)スミやんが一匹目をかけて、心配がどうやら杞憂であったと一安心する。 |
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| かわいらしい本日のファーストヒット | ||||